煉瓦アーチの郷愁(その後)
・2019年刊行の写真集から約6年、撮影を始めて10年余りが経過しました。新橋から有楽町にかけて連なる赤煉瓦の高架橋は、明治末期から大正期にかけて建設され、関東大震災や戦災を乗り越えて今日まで東京の大動脈を支え続けてきた近代化遺産です。
・このガード下は、戦後復興期から高度成長期を経て、サラリーマンたちの憩いの場として独特の街並みを形成してきました。
・本作では、前作のモチーフを再訪し、時代の波に洗われた変容と、なお色濃く残る昔日の面影とが交錯する現在の姿を21点に収めています。
・薄汚れた路地裏の佇まい、アーチ下の店舗が醸し出す夜の小宇宙、壁面に剥がれかけたポスター群——。再開発の波が押し寄せるこの界隈において、煉瓦アーチは変わりゆく東京と変わらぬ人々の営みを静かに見守り続けています。
・時間の堆積が刻まれた風景を、記録として残したいと考えました。